【この記事の前提】 本記事は、2026年6月1日に発表された製薬会社(Johnson & Johnson/ヤンセンファーマ)のプレスリリースをもとに、消化器内科医がやさしく解説するものです。実際の治療方針は必ず主治医にご相談ください。本記事は特定の治療を推奨するものではありません。
何があった? ― トレムフィアが「自宅で注射」できるように

2026年6月1日、潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の治療薬「トレムフィア®(一般名:グセルクマブ)」の皮下注製剤(200mgシリンジ/200mgペン)について、中等症から重症のUC・CD(いずれも既存治療で効果が不十分な場合)の治療薬として、在宅での自己投与(自己注射)が可能になったと発表されました。〔出典:J&Jプレスリリース 2026年6月1日〕
トレムフィアは、IL-23というたんぱく質の働きを抑える「IL-23p19阻害剤」と呼ばれるタイプの薬です。〔出典:同上〕潰瘍性大腸炎やクローン病の基礎は潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療・食事もご覧ください。
通院が減るかも? ― 在宅自己注射のメリット

在宅で自己注射ができるようになると、来院の頻度を調整できるため、治療と就労・就学を両立しやすくなることが期待されています。プレスリリースでは、治療の柔軟性が高まることで「治療アドヒアランス(続けやすさ)の向上が期待される」とされています。〔出典:同上〕
仕事や学校との両立は、IBDと付き合ううえで大きなテーマです。生活面の工夫は潰瘍性大腸炎と不眠の関係もあわせてどうぞ。
【重要】在宅自己注射ができるのは「200mg・4週間隔」だけ

ここはとても大切なので、正確にお伝えします。
トレムフィアの維持療法には、添付文書上、「1回100mgを8週間隔」と「1回200mgを4週間隔」の2つの投与スケジュールがあります。〔出典:トレムフィア皮下注 添付文書〕
今回、在宅自己投与が可能になったのは、このうち「200mg・4週間隔」で投与する場合のみです。「100mg・8週間隔」での投与では、在宅自己注射は認められていません。
つまり、自宅での自己注射を希望する場合は「200mg・4週間隔」の投与法が前提となります。どちらの投与法が適しているか、また自己注射が可能かどうかは、必ず主治医にご確認・ご相談ください。
おまけ:導入から維持まで「ぜんぶ皮下注射」で完結できる

多くの生物学的製剤は、治療の最初(導入期)は点滴で行うのが一般的です。しかしトレムフィアは、導入期も点滴だけでなく皮下注射での導入が可能です。プレスリリースでも、同剤は「潰瘍性大腸炎とクローン病の導入および維持療法において、皮下注製剤による治療を提供する唯一のIL-23p19阻害剤」と記載されています。〔出典:J&Jプレスリリース 2026年6月1日〕
つまり、人によっては導入期から維持期まで、点滴を使わずに皮下注射だけで治療を進められます。点滴のための通院・拘束時間が負担に感じる方にとっては、選択肢が広がるニュースといえます(どの方法が適するかは主治医の判断によります)。
これまでの経緯(承認の流れ)
トレムフィアは、日本ではもともと2018年に乾癬などの治療薬として承認されました。その後、2025年3月に潰瘍性大腸炎、2025年6月にクローン病へと適応が広がり、今回(2026年6月)、UC・CDでの在宅自己投与(4週間隔)が可能になりました。〔出典:J&Jプレスリリース 2026年6月1日〕
潰瘍性大腸炎の治療は、近年めまぐるしく選択肢が増えています。あわせて潰瘍性大腸炎の治療指針の改訂や、注射回数が減ったオンボー(皮下注)の話もご覧ください。
まとめ

- 2026年6月、トレムフィア(皮下注)がUC・CDで在宅自己注射可能に。
- ただし在宅自己注射の対象は「200mg・4週間隔」のみ。「100mg・8週間隔」は対象外。
- 導入期も皮下注が可能で、導入から維持まで皮下注だけで完結できる可能性がある。
- どの投与法が適するか・自己注射が可能かは必ず主治医に相談を。
再燃のサインが気になる方は潰瘍性大腸炎の再燃サイン7つ、食事の工夫は潰瘍性大腸炎の食事ガイドも参考にしてください。
参考・出典
- Johnson & Johnson(ヤンセンファーマ)プレスリリース「トレムフィア®の皮下注製剤、中等症から重症の潰瘍性大腸炎とクローン病患者さんの治療薬として在宅自己投与が可能に」(2026年6月1日)プレスリリースを見る
- トレムフィア皮下注 添付文書(用法・用量)

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