ビオフェルミンは腸活サプリの代わりになる?消化器内科医が医薬部外品と健康食品の違いを解説

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ビオフェルミンと腸活サプリの違いを消化器内科医が解説する記事のアイキャッチ画像。医薬部外品のビオフェルミンと健康食品の腸活サプリが対比され、ハシビロコウの医師キャラクターが描かれている

ドラッグストアで「腸活サプリ」と「ビオフェルミン」が並んでいて、どちらを選べばよいか迷ったことはありませんか。

価格を比べると一般的にビオフェルミンの方が安く、テレビCMでも長年おなじみの製品です。一方、SNSや雑誌では華やかなパッケージの「腸活サプリ」が次々と紹介され、月数千円から1万円を超える商品も並んでいます。「結局どちらを選ぶべきか」という質問を、外来でもよく受けます。

実はこの2つ、見た目は似ていても法律上の分類がまったく違う製品です。消化器内科医として、選び方の判断軸を整理してお伝えします。


目次

ビオフェルミンと「腸活サプリ」は法的分類が違う

ビオフェルミンは指定医薬部外品、腸活サプリは食品という法的分類の違いを比較した図

最初に押さえておきたい最大のポイントは、両者の法的位置づけの違いです。

市販されている代表的な「新ビオフェルミンS錠」は、大正製薬の公式情報によると指定医薬部外品に分類されています。効能効果として「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」が公式に認められています。指定医薬部外品は、医薬品ほどではないものの一定の効能効果が国によって承認されている製品カテゴリーです。

一方、ドラッグストアやネットで「腸活サプリ」として売られている商品の多くは、法律上は**食品(健康食品、機能性表示食品、特定保健用食品のいずれか)**に分類されます。食品である以上、特定の疾患の治療や予防をうたうことは法律で禁止されています。

機能性表示食品は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できる制度です。ただし、特定保健用食品(トクホ)とは異なり、安全性と機能性について国が個別審査するものではなく、消費者庁への届出制となっています。

この違いを理解しておくと、商品選びの軸が大きく変わります。「効能効果が承認されている整腸剤」と「腸内環境の改善を期待する食品」では、そもそも商品の立ち位置が違うのです。


市販ビオフェルミンには複数の種類がある

新ビオフェルミンS、ビオフェルミンVC、ビオフェルミン酸化マグネシウム便秘薬など、市販ビオフェルミンの主な種類を紹介する図

「ビオフェルミン」と一口に言っても、大正製薬の公式サイトには複数のラインアップが存在します。代表的なものを整理しましょう。

  • 新ビオフェルミンS錠/細粒:ビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌の3種を配合した指定医薬部外品。錠剤は5歳から、細粒は生後3ヵ月から服用可能
  • 新ビオフェルミンSプラス錠:上記3種にロンガム菌を加えた指定医薬部外品
  • ビオフェルミンVC:乳酸菌に加えて3種のビタミンを配合した第3類医薬品
  • ビオフェルミンぽっこり整腸チュアブルa:ガスだまりが気になる方向け
  • ビオフェルミン酸化マグネシウム便秘薬:便秘に対する薬
  • ビオフェルミン下痢止め/止瀉薬:下痢を止めるための薬

「整腸」が目的なら新ビオフェルミンSシリーズが基本で、便秘や下痢といった明確な症状がある場合はそれぞれ専用の製品が用意されています。「ビオフェルミン」と書かれていても用途や成分が異なる製品があるため、購入前にパッケージの効能効果を確認することが大切です。

なお、新ビオフェルミンSは食後に服用することで、含まれる乳酸菌が胃酸の影響を受けにくく、生きたまま腸に届くと公式情報に記載されています。服用タイミングも効果を左右する要素のひとつです。


医療機関で処方されるビオフェルミンと市販品は別物

医療用ビオフェルミン錠剤(ビオフェルミン製薬)と市販の新ビオフェルミンS(大正製薬)が別物であることを示す比較図

患者さんから時々受ける質問に「病院で出されるビオフェルミンと、薬局で買うビオフェルミンは同じですか」というものがあります。結論から言うと、同じブランド名ですが中身は異なります

医療用の「ビオフェルミン錠剤」はビフィズス菌を有効成分とする整腸剤で、ビオフェルミン製薬から販売されています。一方、市販の「新ビオフェルミンS」は大正製薬が販売する指定医薬部外品で、配合成分や含有量が異なります。

さらに、医療用の散剤である「ビオフェルミン配合散」と、市販の「新ビオフェルミンS細粒」は配合されている成分が異なるため、別の薬剤と考えるのが正確です。「処方されたものと同じものを薬局で買おう」と思っても、厳密には別の製品であることを知っておいてください。

ただし、ヒトの腸内で善玉菌として働く点では共通しており、整腸という大きな目的において役割は近いと言えます。重要なのは「同じ名前だから完全に同じ薬」ではないことを理解しておくことです。


プロバイオティクスのエビデンスを率直に伝える

プロバイオティクスのCochraneレビューによるエビデンス整理図。小児抗菌薬関連下痢の予防には効果が示される一方、クローン病寛解維持・急性感染性下痢症・湿疹治療では十分なエビデンスがないことを示す

ビオフェルミンも腸活サプリも、その多くは「プロバイオティクス」と呼ばれる生きた微生物を含む製品です。プロバイオティクスは2001年にFAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同専門家委員会により「十分量を投与することで、宿主の健康に良い効果をもたらす生きた微生物」と定義されています。

その臨床的な効果について、世界的に信頼性が高いCochrane Libraryのシステマティックレビューを見ると、領域によって結果が異なることが分かります。

エビデンスが比較的そろっている領域

  • 小児の抗菌薬関連下痢症の予防:Cochraneレビューによると、プロバイオティクス併用群の発症率は対照群より低く、特に1日50億コロニー形成単位以上の高用量で発症率が低下したことが示されています

抗菌薬による下痢は、薬の作用で腸内細菌のバランスが乱れることで起こります。プロバイオティクスはこの乱れを和らげる方向で働くと考えられており、メカニズム的にも整合性があります。

エビデンスが不十分な領域

  • クローン病の寛解維持:現時点で使用を支持するエビデンスは得られていない
  • 急性感染性下痢症:下痢の持続期間に影響を与えない可能性があり、効果については信頼できるエビデンスがまだ不足している
  • 湿疹治療:生活の質について効果があるとするエビデンスは認められておらず、エビデンスの質も低い

「腸内環境を整える」という大きな方向性は妥当性があるものの、個別の疾患への治療効果については慎重な評価が必要というのが、現時点での到達点です。「飲めば必ず良くなる」「劇的に変わる」といった広告表現には注意が必要でしょう。

また、エビデンスは菌の種類(株)や用量によっても変わります。同じ「乳酸菌」と表記されていても、菌株が違えば作用も研究の蓄積も異なるという点は押さえておきたいポイントです。


ビオフェルミンが向いている人・向いていない人

ビオフェルミンが向いている人(軽い軟便・便秘・腹部膨満感・環境変化)と、医療機関の受診を優先すべき人(血便・体重減少・1ヵ月改善なし)を対比した図。ハシビロコウの医師キャラクターが受診を促す

ビオフェルミンが向いている人

  • 軟便、便秘、腹部膨満感といった軽度の整腸目的
  • まずは費用を抑えて整腸剤を試してみたい人
  • 既知の効能効果が明示されているものを選びたい人
  • 抗菌薬服用中で軽い軟便傾向がある人(エビデンスがある領域)
  • 旅行や環境の変化でお腹の調子をくずしやすい人
  • 家族で共有できる整腸剤を求める人(年齢制限の範囲内で)

ビオフェルミンだけで対応すべきでない人

  • 血便がある人
  • 体重減少を伴う排便異常がある人
  • 1ヵ月程度服用しても症状が改善しない人(添付文書にも医師・薬剤師への相談が促されています)
  • 慢性的な腹痛を伴う場合
  • 大腸がん検診を受けたことがない40歳以上で便通異常が続く人

特に最後の項目は重要です。市販の整腸剤で症状をマスクしているうちに、本来検査で見つけるべき疾患の発見が遅れることがあります。便通の変化が続く場合は、医療機関での検査を優先してください。


腸活サプリを選ぶときの医師の判断軸

腸活サプリ選びで医師が確認する4つのポイント(表示分類、配合菌株の明示、継続できる価格、過大広告に注意)を整理した図

「腸活サプリ」を選ぶ場合、医師の立場から見たチェックポイントは以下のとおりです。

  1. 表示分類を確認する:特定保健用食品(トクホ)か、機能性表示食品か、それ以外の健康食品か。トクホは個別審査を経ており、機能性表示食品は事業者責任での届出制です
  2. 配合菌株が明示されているか:「乳酸菌配合」だけでなく、菌の種類(属・種・株名)まで明記されているかを確認しましょう
  3. 継続できる価格か:腸内環境の変化には時間がかかるため、無理なく続けられる価格帯であること
  4. 広告の表現が過大ではないか:食品である以上、特定の疾患の治療や予防をうたうことは法律で禁止されています。誇大な効能を約束する商品は避けるのが無難です

具体的な菌の種類と特徴については、ヨーグルト菌の種類と効果|6つの主要菌株を専門医が比較解説 で詳しく解説しています。

また、生きた菌(プロバイオティクス)だけでなく、菌のエサとなる食物繊維(プレバイオティクス)を同時に摂ることも腸活の基本です。こちらは「腸活」の新常識、発酵性食物繊維とは?〜短鎖脂肪酸が、症状のない今のうちから腸を守る〜 で詳しくお伝えしています。


まとめ:ビオフェルミンは腸活サプリの「代わり」になるのか

症状別の使い分けまとめ図。軽い便通異常にはビオフェルミン、日常の腸活には食事+サプリ補助、続く症状にはハシビロコウ医師による受診を案内する

ビオフェルミンと腸活サプリは、法的分類が異なる別カテゴリーの製品です。ビオフェルミン(指定医薬部外品)は効能効果が明示されており、整腸目的なら最初の選択肢として合理的です。一方、腸活サプリ(食品)はライフスタイルの一部として、食事と合わせて長期的に腸内環境を整えていく位置づけと考えるのが適切です。

「ビオフェルミンか腸活サプリか」の二者択一ではなく、

  • 軽度の便通異常 → まずビオフェルミンで整腸剤としての効果を確認
  • 食事や生活全体での腸内環境改善 → 発酵食品や食物繊維を中心に、補助としてサプリ
  • 続く症状や検査未受診 → 医療機関を受診

という使い分けが現実的です。

費用面で見ても、ビオフェルミンは比較的安価で長期使用しやすく、腸活サプリは月数千円から1万円超までと幅があります。「整腸という効能効果が確立された薬を、まず安価に試す」という順序は、コストパフォーマンスの観点からも合理的です。サプリを併用したり置き換えたりするのは、その後の判断で問題ありません。

腸活は健康な状態を維持・向上させるための手段であって、疾患の治療代わりではないことを忘れないようにしましょう。「サプリで何とかなる」と思い込まず、症状が続くときには必ず医療機関での検査を受けてください。

参考にした主要ソースURL一覧

  1. 大正製薬公式 ビオフェルミンブランドサイト:https://brand.taisho.co.jp/biofermin/
  2. 大正製薬公式 新ビオフェルミンS:https://brand.taisho.co.jp/biofermin/product/s/
  3. KEGG医療用医薬品 ビオフェルミン錠剤:https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049765
  4. KEGG一般用医薬品 新ビオフェルミンS錠:https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_otc?japic_code=J0601002475
  5. pharmacista 医療用と市販の違い:https://pharmacista.jp/contents/skillup/academic_info/gastrointestinal/1841/
  6. SOKUYAKU ビオフェルミン解説:https://sokuyaku.jp/column/biofermin-ius.html
  7. 日本プロバイオティクス学会:http://probiotics-org.jp/probiotics/
  8. 東邦微生物病研究所 健康食品と機能性表示食品:https://www.toholab.co.jp/info/archive/11409/
  9. 新百合ヶ丘総合病院 機能性表示食品と医薬品:https://www.shinyuri-hospital.com/column/co-medical/column_pharm_201804.html
  10. Cochrane CD004827 小児抗菌薬関連下痢予防:https://www.cochrane.org/ja/CD004827/IBD_xiao-er-nokang-jun-yao-niyoruxia-li-noyu-fang-womu-de-tositapurobaioteikusu
  11. Cochrane CD004826 クローン病寛解維持:https://www.cochrane.org/ja/CD004826/IBD_kuronbing-nokuan-jie-wei-chi-notamenopurobaioteikusu
  12. Cochrane CD003048 急性感染性下痢症:https://www.cochrane.org/ja/CD003048/INFECTN_ji-xing-gan-ran-xing-xia-li-zheng-zhi-liao-notamenopurobaioteikusu
  13. Cochrane CD006135 湿疹治療:https://www.cochrane.org/ja/CD006135/SKIN_shi-zhen-zhi-liao-womu-de-tositapurobaioteikusu
  14. ウチカラクリニック ビオフェルミン解説:https://uchikara-clinic.com/prescription/biofermin/
  15. minacolor ビオフェルミン処方薬と市販薬:https://minacolor.com/articles/7697
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この記事を書いた人

消化器内科医(卒後20年)
市中病院で内視鏡・炎症性腸疾患・消化器がん化学療法を専門に診療
消化器病学会専門医/消化器内視鏡学会専門医/総合内科専門医

むずかしい医学を、やさしい言葉で

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