若い世代の大腸がんが増加中|消化器内科医が最新研究をわかりやすく解説

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この記事のポイント

  • 国立がん研究センター(2025年12月発表)の分析で、20〜50歳未満の若年層の大腸がんが世界的に増加していることが確認された
  • 肥満率との関連が示唆されており、食生活・運動習慣・体重管理が重要
  • 大腸がんは早期発見で根治できる可能性が高い疾患。症状がなくても定期検査が有効
  • 消化器内科専門医が、受診の目安と予防のポイントをわかりやすく解説

「大腸がんは中高年の病気」——そう思っていませんか?

実は今、20〜50歳未満の若い世代にも大腸がんが増えています。

国立がん研究センターが2025年12月に発表した国際共同研究では、世界44か国のデータを分析した結果、若年層(20歳以上50歳未満)の大腸がんの罹患率・死亡率がともに増加傾向にあることが明らかになりました。

この記事では、消化器内科専門医の立場から、最新研究の内容・増加の要因・受診の目安・今日からできる予防法をわかりやすくお伝えします。

目次

最新研究|若年大腸がんが世界的に増加

国立がん研究センター(東京都中央区)は2025年12月25日、世界44か国・地域のがん登録データを用いた国際共同研究の成果を発表しました。この研究は、ハーバード大学公衆衛生大学院との共同研究であり、科学誌「Military Medical Research」(2025年11月14日掲載)に掲載されています。

研究のポイント

2000年から2017年までに診断された若年(20歳以上50歳未満)発症がんの動向を分析した結果、以下のことが明らかになりました。

主な研究結果(事実)

  • 男女ともに、若年発症の大腸がんの年齢調整罹患率が多くの国で増加
  • 若年発症の大腸がんは、高齢発症と比べて罹患率の上昇が顕著(8か国で確認)
  • カナダ・米国・イギリスなどでは、大腸がんの若年層の罹患率・死亡率がともに増加
  • 若年者の肥満率が高い国ほど、若年発症がんの罹患率も高い傾向

出典:国立がん研究センター プレスリリース 2025年12月25日 / Terashima M, et al. Military Medical Research. 2025;DOI: 10.1186/s40779-025-00670-8

これは「大腸がんは高齢者の病気」という従来のイメージを大きく覆す結果です。

なぜ若い世代に増えているのか?

今回の研究では、若年者の肥満率が高い国・地域ほど、若年発症がんの罹患率も高い傾向があることが示されました。

ただし、これはあくまでも「相関関係(関連が示唆された)」の段階であり、肥満が直接の原因であると確定しているわけではありません。同研究では、「がん登録の精度向上や検診技術の向上だけでは説明できない増加である」とも述べています。

専門医からの解説

若年の大腸がんリスクに関わる主な要因として以下が挙げられます。

要因 内容 エビデンスの強さ
食生活の欧米化 赤肉・加工肉の過剰摂取、食物繊維不足 強い(WCRF/AICR 報告より)
肥満・過体重 インスリン抵抗性、慢性炎症との関連 強い
運動不足 腸の蠕動運動の低下、肥満と相互作用 中程度〜強い
飲酒・喫煙 大腸がんリスクを確実に上昇させる 強い(WHO)
腸内細菌叢の乱れ コリバクチン毒素産生菌との関連(研究段階) 示唆(Nature 2025年4月)
家族歴・遺伝 家族性大腸腺腫症、リンチ症候群など 強い(ガイドライン記載)

※エビデンスの強さは先生の臨床経験と各種ガイドライン・論文に基づく説明です。個別の診断・治療については主治医にご相談ください。

こんな症状があれば受診を

大腸がんは早期には無症状であることが多く、症状が出た時点ではすでに進行していることも少なくありません。

以下の症状がある場合は、早めに消化器内科を受診することをお勧めします。

⚠️ 受診の目安となる症状

  • 血便・下血(便に血が混じる、黒い便)
  • 便秘・下痢が続く(排便習慣の明らかな変化)
  • 繰り返す腹痛・腹部不快感
  • 原因不明の体重減少
  • 貧血・倦怠感(健診で指摘された場合も含む)

一つでも当てはまる場合は、年齢に関わらず消化器内科への受診を検討してください。

「若いから大丈夫」と思い込まず、気になる症状があれば早めに相談してください。詳しい診断は、必ず専門医にご相談ください。

大腸がんの早期発見が重要な理由

大腸がんは、早期に発見・治療できれば根治が期待できるがんです。

国立がん研究センターのがん情報サービスによると、大腸がんのステージ別5年相対生存率は概ね以下の通りです(2009〜2011年診断例)。

ステージ 状態 5年相対生存率(参考)
Ⅰ期 粘膜〜筋層にとどまる 約95%以上
Ⅱ期 腸管外まで広がる(リンパ節転移なし) 約85%前後
Ⅲ期 リンパ節転移あり 約70%前後
Ⅳ期 遠隔転移あり 約20%前後

参考:国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」。数値はあくまでも参考値であり、個人差があります。詳細は主治医にご確認ください。

早期発見・早期治療が、治癒率と生活の質(QOL)の両方に大きく関わります。

今日からできる予防のポイント

大腸がんのリスクを下げるために、日常生活で実践できることがあります。以下は、がん情報サービスや国際がん研究機関(IARC)のガイドラインに基づく一般的な推奨事項です。

食事

  • 食物繊維を毎日とる:野菜・きのこ・豆類・海藻類など
  • 加工肉・赤肉の食べすぎに注意:ハム・ソーセージ・牛肉・豚肉の過剰摂取は控えめに
  • 飲酒を控える:アルコールは大腸がんリスクを確実に上昇させる因子です
  • 塩分・高脂肪食を控える

運動

  • ウォーキングなどの有酸素運動を週150分以上が目標(WHO推奨)
  • 長時間の座位を避け、こまめに体を動かす

体重管理

  • BMI 25未満を目標に、適正体重を維持する

禁煙

  • 喫煙は大腸がんリスク因子の一つです。禁煙外来の活用も選択肢です

専門医より:どれか一つを「完璧にやる」より、複数を「少しずつ続ける」ことの方が長期的な効果につながります。まずは食物繊維を増やすことから始めてみてください。

何歳から大腸カメラを受ければいい?

日本の大腸がん検診(便潜血検査)は、一般的に40歳から毎年受けることが推奨されています(厚生労働省の指針)。

ただし、以下に当てはまる方は、より早い時期からの内視鏡検査を検討することをお勧めします(主治医へのご相談が前提です)。

  • 家族(親・兄弟)に大腸がんや大腸ポリープの方がいる
  • 以前に大腸ポリープを指摘・切除したことがある
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)を患っている
  • 血便・腹痛など気になる症状がある
  • 今回ご紹介した研究を読んで「自分も調べたい」と思った

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、鎮静剤を使用することで痛みや不快感を大幅に軽減することができます。「怖い」「痛そう」というイメージで受診をためらっている方も、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

この記事のまとめ

  • 国立がん研究センター(2025年12月)の研究で、若年(20〜50歳未満)の大腸がんが世界的に増加中と確認された
  • 肥満率との関連が示唆されており、食事・運動・体重管理が重要
  • 大腸がんは早期発見なら根治が期待できる。症状がなくても40歳以降は定期検査を
  • 血便・便秘・下痢の持続・腹痛・体重減少があれば年齢を問わず早めに受診を
  • 家族歴・IBD既往・ポリープ既往がある方は早期からの内視鏡検査を検討

症状がないうちに腸を守ること——それが一番確実な予防です。

気になることがあれば、ぜひ消化器内科にご相談ください。

監修・執筆者

消化器内科専門医

消化器病専門医 / 消化器内視鏡専門医 / 総合内科専門医
専門:大腸がん・胃がん・食道がん・潰瘍性大腸炎・クローン病

難しい医学をやさしい言葉で届けることをモットーに、患者さんと家族のための情報発信を行っています。

よくある質問(FAQ)

Q. 若い人でも大腸がんになりますか?

はい、なります。国立がん研究センターの最新研究(2025年12月)では、20〜50歳未満の若年層でも大腸がんの罹患率・死亡率がともに増加傾向にあることが世界44か国のデータから確認されています。「若いから大丈夫」という思い込みは禁物です。

Q. 若年大腸がんが増えている原因は何ですか?

今回の研究では、若年者の肥満率が高い国ほど若年発症がんも多い傾向が示されています(因果関係は確定していません)。そのほか、食生活の欧米化(赤肉・加工肉・食物繊維不足)、運動不足、飲酒・喫煙、腸内細菌叢の乱れなどが関連する可能性が指摘されています。

Q. 大腸がんを予防するために何をすればいいですか?

食物繊維を積極的にとる、赤肉・加工肉・アルコールを控える、定期的な運動、禁煙、適正体重の維持が有効とされています。また、40歳以降は定期的な便潜血検査、家族歴や症状がある方は大腸内視鏡検査を早めに検討することをお勧めします。

Q. 大腸カメラは痛いですか?

鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで、ほとんどの方がウトウトしている間に検査を終えることができます。「怖い・痛そう」というイメージで受診をためらっている方も、まずは外来でご相談ください。

Q. 何歳から大腸カメラを受けるべきですか?

一般的には40歳以降の定期検査が推奨されています。ただし、家族歴がある・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)を患っている・ポリープの既往がある・血便などの症状がある場合は、より早い時期からの内視鏡検査を主治医と相談することをお勧めします。

参考文献・出典

  1. 国立がん研究センター プレスリリース「若年大腸がんと子宮体がんの罹患・死亡の増加を確認」2025年12月25日
    URL: https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/1225/index.html
  2. Terashima M, et al. Diverging global incidence trends of early-onset cancers. Military Medical Research. 2025 Nov 14. DOI: 10.1186/s40779-025-00670-8
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
    URL: https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html
  4. World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research. Diet, Nutrition, Physical Activity and Colorectal Cancer. Continuous Update Project Expert Report. 2018.
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この記事を書いた人

消化器内科医(卒後20年)
市中病院で内視鏡・炎症性腸疾患・消化器がん化学療法を専門に診療
消化器病学会専門医/消化器内視鏡学会専門医/総合内科専門医

むずかしい医学を、やさしい言葉で

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