局所進行食道癌に対するネオアジュバント免疫療法と化学療法の併用療法の有効性と安全性:メタアナリシス

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目的


切除可能な局所進行食道癌に対するネオアジュバント療法は、その進歩が滞っている。進行食道癌に対する免疫療法の進歩は著しいが、切除可能な局所進行食道癌に対するネオアジュバント免疫療法の有効性と安全性はまだ確定的に証明されてはいない。

方法


2022年7月までに発表された切除可能な局所進行食道癌に対するネオアジュバント免疫療法の安全性と有効性を記載した原著論文をPubMed、Embase、Cochrane Libraryから検索した。比率(OR)および95%信頼区間(CI)を算出し、異質性解析およびサブグループ解析を行った。

結果


21試験から合計759名の患者が登録された。ネオアジュバント免疫療法と化学療法の併用の有効性は、major pathologic response(MPR)およびpathologic complete response(PCR)を用いて評価された。
登録された患者のうち、677人が外科的治療を受け、664人がR0切除を達成した。
ネオアジュバント免疫療法と化学療法の併用により、52.0%(95%CI:0.44-0.57)の患者にMPRが得られ、29.5%(95%CI:0.25-0.32)の患者にPCRが得られた。
安全性は、主に治療関連有害事象(TRAE)の発生率と外科的切除率で評価された。TRAEの発生率と外科的切除率は、それぞれ0.15(95%CI:0.09-0.22)、0.86(95%CI:0.83-0.89)であった。

結論


局所進行切除可能な食道癌に対するネオアジュバント免疫療法と化学療法の併用は、有効かつ安全である。

感想


近年化学療法の進歩は目覚ましいです。特に大腸癌ではレジメンが4,5次療法まであります。一方食道癌は少し前まではレジメンがほとんどありませんでした。最近免疫療法が追加となり、1次療法と2次療法の種類が増えたとはいえ、推奨されるレジメンは2次療法までです。食道癌のレジメンがさらに増えることを期待します。

出典


Wang J, et al: Efficacy and safety of neoadjuvant immunotherapy combined with chemotherapy in locally advanced esophageal cancer: A meta-analysis
Front Oncol. 2022 Sep 5;12:974684. doi: 10.3389/fonc.2022.974684. eCollection 2022.PMID: 36158679

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この記事を書いた人

卒後15年超の消化器内科医です。
卒後は様々な市中病院で研鑽を積み,現在に至ります。

専門は早期がんの内視鏡治療,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療,消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)です。消化器病学会専門医,消化器内視鏡学会専門医,総合内科専門医を所持しています。

このブログでは,一般の方向けの消化器疾患の説明と,消化器レジデント向けの論文の紹介をしています。

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