内視鏡医の専門性と大腸内視鏡検査の質との関連性 – システマティックレビューとメタアナリシス

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背景と目的


大腸内視鏡検査の質指標は測定可能なパフォーマンス評価を提供するが、医療機関レベルで大きなばらつきが存在する。我々は、内視鏡医の専門性が主要アウトカムである腺腫検出率(ADR)、盲腸挿入率、有害事象発生率、大腸内視鏡検査後の大腸癌発生率と関連しているかを評価するために系統的レビューとメタ解析を実施した。

方法


EMBASE,Google Scholar,MEDLINE,およびCochrane Central Registry of Controlled Trialsを創刊から2020年12月14日まで検索した。2名のレビュアーが独立してタイトルと抄録をスクリーニングした。引用文献は二重のフルテキストレビューを受け、不一致は第三の査読者によって解決された。データの抄録は二重で作成した。DerSimonian and Lairdランダム効果モデルを用いて、プールされたオッズ比(OR)およびそれぞれの95%信頼区間(CI)を算出した。バイアスのリスクは、介入に関する非ランダム化研究におけるバイアスリスクを用いて評価した。

結果


11,314件の引用のうち、3,500,832件の大腸内視鏡検査に相当する36件の研究が含まれた。消化器専門医による大腸内視鏡検査と比較して、外科医による大腸内視鏡検査はADRが低く(OR, 0.81; 95% CI, 0.74-0.88 )、盲腸挿入率が低い(OR, 0.76; 95% CI, 0.63-0.92)ことが示された。胃腸科医による大腸内視鏡検査と比較して、その他の(非胃腸科医、非外科医)内視鏡医による検査は、より低いADR (OR, 0.91; 95% CI, 0.87-0.96) 、高い穿孔率 (OR, 3.02; 95% CI, 1.65-5.51) および高い大腸検査後の癌率 (OR, 1.23; 95% CI, 1.14-1.33) と関連していることが示された。ほとんどの解析で相当からかなりの異質性が存在し、Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluationsの枠組みによると、証拠の確実性は全体的に低いものであった。

結論


外科医やその他の内視鏡医が実施した大腸内視鏡検査は、消化器科医が実施したものと比較して、より低い品質指標および転帰と関連していた。目標とする質の向上の努力が必要であろう。

感想


やはり餅は餅屋ということでしょうか。外科医の先生方は手術で忙しいですから、内視鏡は消化器内科医に任せても良いかもしれません。
なお今回の解析対象となった論文のほとんどはアメリカかカナダから発表されたものであり、日本を含めたアジアからの論文は一本も含まれていませんでした。日本人やアジア人が対象である場合にもこのような結果が出るのでしょうか。興味深いです。

論文


Matthew M, et al: Association Between Endoscopist Specialty and Colonoscopy
Quality: A Systematic Review and Meta-analysis. Clinical Gastroenterology and Hepatology  VOLUME 20, ISSUE 9, P1931-1946, SEPTEMBER 01, 2022, DOI:https://doi.org/10.1016/j.cgh.2021.08.029

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この記事を書いた人

卒後15年超の消化器内科医です。
卒後は様々な市中病院で研鑽を積み,現在に至ります。

専門は早期がんの内視鏡治療,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療,消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)です。消化器病学会専門医,消化器内視鏡学会専門医,総合内科専門医を所持しています。

このブログでは,一般の方向けの消化器疾患の説明と,消化器レジデント向けの論文の紹介をしています。

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