難治性悪性結腸閉塞に対する緩和治療としての大腸ステント留置術とストーマ造設術の比較

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目次

背景と目的


自己拡張型メタルステント(SEMS)は、難治性悪性結腸閉塞症(MCO)に対する良好な治療選択肢の一つである。しかし、ストーマ造設術と比較した長期的な有効性と安全性は十分に検討されていない。
本研究では、難治性悪性結腸疾患患者を対象に、この2つの術式の長期成績を比較することを目的とした。

方法


このレトロスペクティブコホートは,2009年1月から2019年12月までにSEMS挿入(n=105)およびストーマ造設(n=97)を行った難治性MCOの患者を対象としたものである。
主要アウトカムは、手技後の開存率と1年後の再介入率であった。

結果


SEMS群の開存率はストーマ群より低かったが(6カ月で88.9 vs 93.2%、12カ月で84.1 vs 90.5%、18カ月で65.8 vs 90.5%、ログランク検定、P = 0.024)、1年間の再介入率は群間で差がなかった(10 vs 8%、P = 0.558 )。
開存期間の中央値は、SEMS挿入で190日、ストーマ造設で231日であった。
SEMS患者の大部分(84%)は、死亡するまで再介入を必要としなかった。
早期合併症発生率は両群間に差はなかったが(P = 0.377)、SEMS挿入はストーマ造設より後期の軽度の合併症が少なかった(5 vs 22%、P = 0.001)。

結論


SEMS挿入は難治性MCO患者に対する安全かつ有効な治療法である。
SEMS挿入はストーマ造設よりも開存率が低く、特に1年後の開存率は低かったが、1年後の再介入率に差はなく、ほとんどの患者においてSEMSの耐久性は十分であった。

感想


大腸ステントはストーマ造設と比べ低侵襲であり、QOLも保たれ、術後の管理も簡単な良い治療だと思います。
大腸ステントの留置の際の問題点としては、管腔が完全閉塞していると口側へのルートが分からずガイドワイヤーが通せないこと、脾湾曲や肝湾曲などの屈曲部ではガイドワイヤーがうまく進まず留置困難なことが挙げられます。
これらの問題が克服できればさらに良い治療になると思います。

論文


Sukit P, et al: Comparison of colonic stenting and stoma creation as palliative treatment for incurable malignant colonic obstruction. JGH Open https://doi.org/10.1002/jgh3.12800

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この記事を書いた人

卒後15年超の消化器内科医です。
卒後は様々な市中病院で研鑽を積み,現在に至ります。

専門は早期がんの内視鏡治療,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療,消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)です。消化器病学会専門医,消化器内視鏡学会専門医,総合内科専門医を所持しています。

このブログでは,一般の方向けの消化器疾患の説明と,消化器レジデント向けの論文の紹介をしています。

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