中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療アルゴリズムにおけるFilgotinibの位置付け

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目次

背景と目的


Filgotinib(フィルゴチニブ)はJanus kinase(JAK)1 型を選択的に阻害する低分子化合物である。すでに関節リウマチの治療薬として承認されており、中等度から重度の潰瘍性大腸炎[UC]患者の治療薬として評価されている。
このレビューの目的は、フィルゴチニブに関する現在入手可能なデータの概要を提供し、この新薬をUC患者の治療アルゴリズムにどのように位置づけるかを明確にすることである。

方法


UC患者におけるフィルゴチニブの有効性および安全性データを報告する研究を特定するため、Pubmed、EmbaseおよびScopusデータベースを2021年6月25日まで検索した。

結果


中等症から重症のUC患者を登録した第III相試験のデータから、フィルゴチニブは有効であり、安心できる安全性プロファイルであることが示された。
フィルゴチニブ投与は、他のJAK阻害剤と比較して、血栓症や帯状疱疹感染症のリスクが高くなることはない。
しかし、動物実験では精子形成障害や男性生殖器への病理組織学的影響が報告されており、ヒトでの試験でこの点を深掘りする必要がある。

結論


フィルゴチニブは、生物学的製剤未使用の患者および生物学的製剤使用経験のある中等度から重度のUC患者の治療に有効かつ安全な薬剤であり、間もなく使用可能となる可能性がある。

感想


フィルゴチニブは日本でも今年から商品名ジセレカとして使用可能となりました。
トファシチニブと違い、IMの併用は禁忌ではないとされていますが、その他にトファシチニブとの使い分けは今後の課題のようです。
JAK阻害剤としてはリウマチの領域ではさらにbaricitinib, upadacitinib, peficitinibなどがあるようです。これらの薬剤もいずれIBDの領域で承認されるのでしょうか。その場合ますます使い分けが問題となります。

論文


Ferdinando D, et al: Positioning Filgotinib in the Treatment Algorithm of Moderate to Severe Ulcerative Colitis. Crohns Colitis. 2022 Jun 24;16(5):835-844. doi: 10.1093/ecco-jcc/jjab206.

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この記事を書いた人

卒後15年超の消化器内科医です。
卒後は様々な市中病院で研鑽を積み,現在に至ります。

専門は早期がんの内視鏡治療,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療,消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)です。消化器病学会専門医,消化器内視鏡学会専門医,総合内科専門医を所持しています。

このブログでは,一般の方向けの消化器疾患の説明と,消化器レジデント向けの論文の紹介をしています。

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