大腸カメラって?苦しい?入院は必要?

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はじめに

検診の便潜血検査で引っかかってしまったな・・・。
最近便に時々血が混じるな・・・。
大腸カメラを受けた方がいいんだろうけど,痛そうだし,ポリープやがんが見つかったら嫌だな・・・。

このようなことはないでしょうか?

今回は大腸カメラについて説明します。

大腸カメラ検査とは

大腸カメラは正式には大腸内視鏡検査,あるいは下部消化管内視鏡検査といいます。

すごく簡単にいうと,下剤を大量に飲んでから,お尻からカメラを入れて,大腸を観察する検査です。


検査の目的は,大腸ポリープや大腸がんがないか評価し,あればポリープ切除や生検(細胞の一部を取る)を行います。

近年は食生活の欧米化などにより,日本でも大腸がんは増加傾向です。

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大腸がんのほか,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)も日本では増加傾向であり,このような疾患の診断や定期検査のためにも大腸カメラを行います。

検査の流れ

準備:
検査前日は消化の良いのみを食べるようにします。
逆に言えば消化の悪い,ネギやキャベツや白菜などの葉っぱものや,トウモロコシなどの種類は避けるようにします。

病院によっては,検査前日にプルゼニドやラキソベロンといった下剤の服用が指示されることもあります。

検査当日は朝から2時間かけて,1.5-2Lの腸管洗浄液を飲みます。

これがかなり大変です。正直この腸管洗浄液はおいしくはありません。
しかし飲めないと検査にならないので,頑張って飲みましょう!

午後になり,検査時刻になったら病院に向かいます。

検査当日:
病院に到着したら,内視鏡室に向かいます。

看護師から前処置の綺麗さを聞かれると思います。
そこで前処置が十分良ければ合格です。

目標は飲んだ下剤と同じくらい透明な液がお尻から出てくる状態です。
大体6-8回排便があれば合格のことが多いです。

しかし排便の回数や前処置の綺麗さが不十分の場合には,追加の前処置が必要になることがあります。💧

病院によりますが,ある程度の大きさのポリープがあれば,ポリープを切除することが可能です。
安全のため外来では大腸ポリープがあっても観察のみ,ポリープ切除は全例入院が必要という病院もあります。

生検やポリープ切除をした場合には,その日は帰ってからお酒や辛いものなどの刺激物を取らず,消化に良い物だけを食べるようにします。

ポリープ切除後に出血することがありますが,それは2,3日以内が多く,長くても1週間以内です。

もし出血した場合には病院に連絡しましょう。

生検やポリープ切除をした場合には,病理結果(良性か悪性かなど)の確認のため,10日から2週間後に外来に来てもらいます。

痛みや不快感はある?

大腸カメラは痛い・・・,そんな風に聞いたことはないでしょうか?
大腸カメラの痛みの程度にはかなり個人差があります。

専門的な話になりますが,大腸のうちのはじめの方のS状結腸という部分は,人により長さがまちまちであり,この部分が長いと大腸カメラが大変になりやすいです。

また過去にお腹の手術歴がある人の場合には,癒着といって腸の外側同士がくっ付いていることがあり,このような方も痛みが出やすいです。

さらに大腸には曲がり角がいくつかありますが,痩せていて筋力がない女性などでは,曲がり角の角度がきつかったり,曲がり角を曲がるときに腸が伸ばされるため,痛みが出やすいです。

反対に中肉男性はS状結腸も短く,腹筋もあり,最も簡単に検査ができます。
ただし高度肥満の人は大変です。

お腹の手術歴(特に産婦人科の手術歴,帝王切開など)がある人の場合には,癒着が強く,ベテランの医師が検査をしても痛みが強いことがあります。

そのような痛みがとても強い人の場合にはどうしたら良いのでしょうか?
その場合,病院によっては鎮静剤を使ってくれるところもあります。
鎮静剤を使えば,寝ている間に検査が終わるため,痛みや苦しみは感じません。

ただし鎮静剤を使った場合には,検査後1時間程度,病院の中で休んでもらう必要があります。
また帰宅後もその日は一日車やバイクの運転や,高いところに上るといった危険を伴う作業は控えてもらう必要があります。

入院について

大腸カメラは通常は日帰りで行い,鎮静剤を使ったとしても一般に入院の必要性はありません。

ただし先ほど述べたように,病院によっては大腸ポリープを切除した場合には安全のため全例入院としている施設もあります。

また普段は日帰りで大腸ポリープを切除している病院であっても,大きなポリープを切除した場合や,術中に大量に出血した場合などは,安全のために入院してもらうこともあります。

まとめ

現在日本では大腸がんやそれによる死亡が増えています。

しかし大腸がんは大腸ポリープの段階や早期がんの状態で発見できれば,大腸カメラで切除できます。
つまり大腸がんによる死は防げるものなのです。

みなさん,検診を受けましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

卒後15年超の消化器内科医です。
卒後は様々な市中病院で研鑽を積み,現在に至ります。

専門は早期がんの内視鏡治療,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療,消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)です。消化器病学会専門医,消化器内視鏡学会専門医,総合内科専門医を所持しています。

このブログでは,一般の方向けの消化器疾患の説明と,消化器レジデント向けの論文の紹介をしています。

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