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背景
中等症から重症クローン病(CD)に対する1年間の治療後の内視鏡的治癒(EH)達成能力について、4つの生物学的製剤(adalimumab、infliximab、ustekinumab、vedolizumab)の効果を比較検討した。
方法
4つの臨床試験(UNITI, VERSIFY, EXTEND, CT-P13)で得られた299名のCD患者の患者レベルデータのプール解析である。各生物学的製剤で治療された患者の割合は、1年間の完全EH(SES-CD<3)および回腸・大腸EH(SES-CD = 0)を達成した患者について比較された。
多変量ロジスティック回帰を用いて、生物学的製剤と1年後の転帰の関係をモデル化し、疾患期間、コルチコステロイドの併用、TNF Failureの既往について調整した。
結果
vedolizumab((4/56[7.1%])と比較して、adalimumab(17/61[27.9%]、調整オッズ比[OR]:5.79、95%信頼区間[CI]:1.77-18.95、P = 0.004)、infliximab(39/141 [27.7%]、aOR: 4.59, 95% CI: 1.48-14.22, P = 0.008)が1年EH率で優れていた。
vedolizumabとustekinumabの間に有意差は認められなかった。生物学的製剤未使用の患者でも同様の結果が得られた。
ベースラインの回腸SES-CDが3以上の患者では、1年目の回腸EHに生物学的製剤間の有意差は認められなかった。しかし、大きな回腸潰瘍(0.5cm以上)については、infliximab(20/49例[40.8%])はvedolizumab(2/23例[8.7%]、aOR:5.39、95%CI:1.03-28.05、P = 0.045)と比較して回腸潰瘍を認めなかった割合に優れた。その他の差は認められなかった。
大腸疾患については、ustekinumab(9/31 [29.0%])と比較して、adalimumab(30/48 [62.5%], aOR: 3.97, 95% CI: 1.45-10.90, P = 0.007) が大腸の1年EH率で優れており、infliximab(55/105 [52.4%], aOR: 2.08, 95% CI: 0.82-5.27, P = 0.121 )についても同様の傾向が認められた。その他の差は観察されなかった。
結語
このpost hoc解析ではTNF-α抗体製剤は中等から重症CD患者の1年EH達成において、vedolizumabおよびustekinumabより全体的に優れていた。
感想
これまでの実臨床での印象の通り、やはり抗TNF-α抗体製剤はUST, VDZより粘膜治癒の効果が高いようです。
近年生物学的製剤が急速に増えてきました。選択肢が増えたことは嬉しいですが、各製剤のpositioningは現在のところ明らかにはなっておらず、とても頭を悩ませる問題です。早くhead to headの試験の結果が発表されることが望まれます。
論文
Narula N, et al. Effectiveness of Biologics for Endoscopic Healing of the Ileum and Colon in Crohn’s Disease. The American Journal of Gastroenterology: July 2022 – Volume 117 – Issue 7 – p 1106-1117, doi: 10.14309/ajg.0000000000001795
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