早期胃印環細胞癌に対するESDのシステマティックレビューとメタアナリシス

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目次

背景


早期胃印環細胞癌(SRC)に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、リンパ節転移の危険性から賛否両論がある。

目的


早期胃印環細胞癌に対するESDの治療効果と安全性を評価するためのメタアナリシスを実施すること。

方法


PubMed, Web of Science, Cochrane Library, EMBASEデータベースを用いて、SRCにおけるESDの治療効果および安全性を評価した関連研究を検索した。
再発率,完全切除率,不完全切除率,治癒切除率,一括切除率,有害事象を抽出し,解析した。
登録された研究の方法論的質は、Newcastle-Ottawa Scaleを用いて評価した。出版バイアスはEggerの検定で評価した。
本報告では、施設審査委員会の承認と書面による同意は不要であった。

結果


このメタアナリシスには、早期SRCに対してESD治療を受けた653人の参加者を含む7件の研究が登録されていた。

観察期間中央値16ヶ月から75.6ヶ月において、 再発率は0.010[95%信頼区間(CI):0.000-0.040、Z=1.422、P=0.155]であった。
全脈管浸潤率は0.038(95%CI:0.007-0.088、Z=3.026、P=0.002)であった。
全切除率は0.984(95%CI: 0.925-1.000, Z = 19.463, P = 0.000)と推定された。
完全切除率および不完全切除率はそれぞれ0.785(95%CI: 0.596-0.928, Z = 9.789, P = 0.000)および0.188(95%CI: 0.016-0.468, Z = 2.531, P = 0.011)であったと推定された。
全手技関連胃出血および胃穿孔率は、それぞれ0.026(95%CI: 0.005-0.061, Z = 3.006 P = 0.003)および 0.004(95%CI: 0.000-0.028, Z = 0.938, P = 0.348) と推定された。
治癒切除率は72.1%(145/341)、垂直マージン侵襲率は2.3%(8/348)、側方マージン侵襲率は34.45%(41/119)であった。

結論


ESDは、早期未分化SRC胃癌に対する有望な治療法である。しかし、その治療効果を高め、有害事象を減らすためには、さらなる改善が必要である。

感想


側方断端陽性率が高いと感じました。今回の論文ではESD前に病変周囲からのnegative biopsyを取っていたかの記載はありませんでしが、おそらく行われていない施設が多かったのではないかと思われます。
それにもかかわらず再発率が低かったのは観察期間が短いケースが多かったためではないかと思われます。5年以上経過が追えた症例に限定して検討した方が良かったと思われます。

出典


Weng CY, et al; Endoscopic submucosal dissection for early signet ring cell gastric cancer: A systematic review and meta-analysis.
World J Clin Cases. 2022 Jul 16;10(20):6915-6926. doi: 10.12998/wjcc.v10.i20.6915.PMID: 36051146 

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この記事を書いた人

卒後15年超の消化器内科医です。
卒後は様々な市中病院で研鑽を積み,現在に至ります。

専門は早期がんの内視鏡治療,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療,消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)です。消化器病学会専門医,消化器内視鏡学会専門医,総合内科専門医を所持しています。

このブログでは,一般の方向けの消化器疾患の説明と,消化器レジデント向けの論文の紹介をしています。

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