中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎患者におけるミリキズマブ治療の便意切迫感への臨床的効果と疾患寛解における便意切迫感改善の臨床的関連性

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目次

背景


便意切迫感はUC患者のQOLを低下させる。抗IL-23p19抗体であるミリキズマブはUCに対する有効性が示されている。ミリキズマブの便意切迫感を減らす効果と便意切迫感と他のエンドポイントとの関連を、2つのフェーズ3試験で分析した。

方法


LUCENT-1(導入):1162人の患者が3:1の割合でミリキズマブ300mg静脈内投与またはプラセボにランダム化され、それぞれ4週間ごとに12週間投与された。
LUCENT-2(維持):導入期間中にミリキズマブに反応のあった544人が、2:1の割合でミリキズマブ200mg皮下注またはプラセボに再ランダム化され、それぞれ4週間ごとに40週間投与された(52週間の連続治療)。
便意切迫感は緊急性数値評価尺度(0-10)を用いて測定された。
LUCENT-1の基準スコアが3以上の患者では、12週と52週でミリキズマブ群とプラセボ群の便意切迫感の有意義な改善(3点以上の減少)と寛解(スコア1以下)の率を比較した。
便意切迫感と他の有効性エンドポイントとの関連は、12週と52週で評価された。

結果

ミリキズマブ群の患者では、プラセボ群と比較して、便意切迫感の臨床的に有意な改善と寛解を達成した患者の割合が、12週と52週で有意に高かった。 また、便意切迫感の有意な改善または寛解を達成した患者の割合は、達成しなかった患者と比較して、臨床的寛解、ステロイドフリー寛解、内視鏡的寛解、症状的寛解、臨床的反応、正常化した便中カルプロテクチンとC反応性蛋白、およびQOLの改善のエンドポイントを達成する割合が有意に高かった。



結論

UC患者では、導入期間と維持期間中に便意切迫感の改善が見られた患者は、改善が見られなかった患者よりも臨床的な結果が良好であった。 ミリキズマブ群の患者では、プラセボ群の患者と比較して、便意切迫感の改善と寛解を達成した患者の割合が多かった。

感想

またIBD新薬が増えました。IL12/23p40抗体のウステキヌマブとのポジショニングが今後の課題となりますね。

出典

Dubinsky MC, et al; Clinical Effect of Mirikizumab Treatment on Bowel Urgency in Patients with Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis and the Clinical Relevance of Bowel Urgency Improvement for Disease Remission. Crohns Colitis 360. 2022 Dec 13;5(1):otac044. doi: 10.1093/crocol/otac044. eCollection 2023 Jan.

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この記事を書いた人

卒後15年超の消化器内科医です。
卒後は様々な市中病院で研鑽を積み,現在に至ります。

専門は早期がんの内視鏡治療,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療,消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)です。消化器病学会専門医,消化器内視鏡学会専門医,総合内科専門医を所持しています。

このブログでは,一般の方向けの消化器疾患の説明と,消化器レジデント向けの論文の紹介をしています。

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